2011年9月29日木曜日

海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年―塩野七生を読みました。


本のタイトル:海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年―塩野七生

読んだ日付:2011/9/27

この本を読むことになったきっかけ:マルタの騎士団に興味を持って塩野さんのロードス島攻防記を読んだことがきっかけ。その中でヴェネツィアに関する記述があり興味をもった。資源も土地もないヴェネツィアがいかにして1000年も同じ国体で存続できたかが、今の日本に必要な何かがわかるような気がした。


この本を読んであたらしく興味をもったこと:

ユダヤ人の歴史・・・
トルコのスルタンお付きの医者もユダヤ人・・
民族として生き延びるために医療と金融を意図的に選択したとしか思えない。
その背景とは、なぜその2つを選択したのか、ユダヤ人以外の人はなぜそうしなかったのか。

日本の官僚・・・
官僚というと悪いイメージしかなかったが、昔の日本の官僚は日本を経済大国にした実績があった。
どんなことをして日本の経済力を高めたのか、そして今はなぜ腐敗してしまったのか。
ヴェネツィアの国家運営を見ているとちゃんと官僚という仕組みを学んでから評価したり批判したりすべきだと感じた。



読んで欲しい人:日本の政治家に読んでほしいです笑 まじめに考えると会社のリーダーや学校の先生などの指導者にも読んでほしい。ヴェネツィアは理想を掲げたりせず、ただただ現実的。人間の本能に忠実。


自分のビジネスに活かすためのアイデア:

ヴェネツィアの知的で効率的な国家運営に感動した。
海軍力というレアで価値のあるたった一つの武器をまずは徹底的に磨いたこと。
この海軍力を活用してビザンチン帝国との取引を有利にしたことから第二の武器である経済力を手に入れた。
この海軍力がなくなる頃から衰退が始まるのでとにかくたった一つの武器をいつまでも徹底的に磨いてNo.1になることがとても大事だと感じた。


見習い水夫も力量に合わせて商品の持ち込みを許された。
船に乗る全員の利害関係が一致することになる。
例えばベンチャー企業は持株制度などもあるけども、特定の商品を自分のお金と責任で仕入れてきて
それを販売することが事務の人でも物流の人でもできるようにしてはどうか。もちろん利益は会社とその個人と協力者で分配することができるようにすれば
会社と個人のベクトルが同じ方向に向くのではないか。

制度が国を活性化させるという事例が載っていて参考になった。
日本の護送船団方式と言われる保護された産業があるが、保護が必ずしも悪いことではないということがわかった。
問題は保護のしっぱなしで既に保護する必要がない産業まで保護したり、競争することでレベルがあがって国際社会でかえってたたかえるようになった産業もあると思う。
制度には必ず良い面と悪い面があるのだから、ずっと同じルールで良いはずがない。
時代や環境にあわせて政策を変化させ続けることが大事なのではないか。


巡礼をひとつの観光事業と捉えていた点がとても面白い。
そしてその観光ビジネスも国が徹底的に管理をし、国家をあげての大事業にすることで地理的に有利なフランスよりもヴェネツィアを選ぶ人が多かった。
今は韓国が国家をあげてSamsungを強くしようとしている。税金で優遇し、ヨーロッパの農作物で関税を取らない代わりにSamsungの商品はヨーロッパで関税がかからないので
日本よりも安く売ることができるとか。韓国も国をあげて特定の産業を強化していることが伺える。おそらく日本もそうだったはず。
もっと規模を小さく考えても営業マン一人が頑張っても限界がある。会社のバックアップがないと何もできない。その点自分は恵まれていると思った。




読後の感想:とにかく学ぶことの多い本でした。聞いたことがなかった英雄がたくさんでてきました。それにしてもこの作者の調査能力はちょっとおかしいんじゃないかと思うくらい素晴らしい。
日本は資源がない国。土地の面積も小さい。バブルもはじけました。この先どうやって国際社会を生き抜いていくかをもっと真剣に考えないといけない。一人ひとりが生産性を高めないといけない。
国家として活気がないといけない。まずは僕一人だけでも生産性を高めようと思います。それができたら同じ会社の人もレベルアップしてもらいます。得意先や取引さも巻き込みたい。
みんながこんな気持ならきっと日本はまだまだよくなる。サッカーや野球の日本代表が活躍すると感動するけど、自分たちはいまやってる仕事の日本代表なんだという気持ちで働きたいものです。

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